宇宙葬ひとりで星になるならばそれもいいかとぬか床混ぜる

日常から、とんでもない妄想まで。メンタルちょっと弱めです。

銀座と渋谷

地方の方には恐縮ですが、東京の話をします。

銀座と渋谷、どちらも東京の中で有名な街だと思います。でも、印象はずいぶん違います。

すごくざっくり言えば、銀座は大人の街で、けっこう許容度がある街だと思います。

一方、渋谷は若者の街で、ちょっととんがっていて、なんだかキラキラごちゃごちゃしすぎてると私には思えます。最近の渋谷ですけどね。

 

私はずっと千葉県の習志野市というところに住んでいました。最寄りの駅は津田沼という駅でした。そこからJR西船橋駅まで行き、そこから東京メトロ東西線に乗り、日本橋まで行きます。そこで銀座線に乗り換えて二駅目が銀座です。

父の勤めていた会社が銀座にあったこともあり、父はよく家族を銀座に連れて行ってくれました。たいてい、日本橋高島屋で絵の展覧会を見て、銀座でしゃぶしゃぶを食べて、木村屋のパンで、ブドーステッキという、干しぶどう入りの細長いパンを買うのが定番でした。今も、銀座に行くと、私は必ず木村屋に行って、ブドーステッキを買います。甘いおやつが出る習慣のなかった我が家で、唯一と言っていいほどおみやげに買ってもいい甘いものがこのブドーステッキでした。おそらくこれは父の好物でした。

 

渋谷は私が大学生になってから関わるようになった街でした。大学への行き帰りにどうしても通る街だったのです。だからよく寄り道しました。渋谷は、東急と西武がせめぎ合う街です。109をみんなイチマルキューと呼んでいましたが、それは10(トオ)9(キュー)であることはある時突然わかりました。雑貨や文具を売る店として、東急系の東急ハンズと、西武系のLOFTがありましたが、私はLOFTの方が好きでした。そんなこんなで、今よりはもう少しおとなしい、でもやはり若者の街だった渋谷を、私はよく歩き回りました。と言っても、昼間の渋谷です。私は夜の渋谷はほとんど知りません。

 

不思議なのですが、銀座と渋谷は地下鉄銀座線で結ばれています。渋谷は銀座線の終点なのです。銀座線の渋谷駅は、地下鉄なのに、地上二階にあり、ちょっとわかりにくい場所にあります。私は、大学一年生の時に、父親に、渋谷に行くのに銀座線を使うルートを指定されたので、その駅を知っているのです。渋谷駅は終点なので、帰りは始点となり、必ず座れます。もしかして父はそのことも考慮していたのかもしれません。大学一年生の時、銀座線の車両に乗り込んで座ってから、吉本ばななの「キッチン」を読んでいた時になぜか泣いてしまったことを覚えています。

 

銀座と渋谷、それぞれに私にとっては思い出深い街です。歳を重ねた今、その二つの街にも、新しい経験が加わりましたが、そのことを書くにはもう、紙面が長くなりすぎました。それはまた、別の機会で。