宇宙葬ひとりで星になるならばそれもいいかとぬか床混ぜる

日常から、とんでもない妄想まで。メンタルちょっと弱めです。

春のコート

冬の終わりと春の始まり。この、微妙に重なって、でも、微妙に区切りがある時期の、コートの選択は難しい。

朝夕は寒い、けれど昼間はあったかい。昼間はまったく会社の外に出ない私は、ついつい朝夕の気温に合わせて冬のコートを選ぶことが多いのだが、通勤の行き帰りに、薄手のトレンチコートを着ている人を何人も見かけるようになると、ああ、そろそろ季節を先取りしないといけない時期なのだな、と自分の間違いを知る。

そうなのだ。春は、先取りしなければいけない季節なのである。薄い春のコートを羽織って、もう、春なのよ、と強がらなければならないのである。

でも、春のコートの時期は短い。4月も半ばとなれば、薄手のものでさえ、コートはもういらない季節になる。

 

今年は、春のコートを買った。ステンカラーのロング丈のコート。トレンチコートはカッコいいのだが、ありふれていて、冒険がないと思う私にとって、うす緑がかった色のステンカラーのコートは、新鮮味を感じさせるものだった。お店の人に、このコートはカジュアルな格好にも合わせられるし、ちょっとしたフォーマルな服にも合いますよ、と言われたのが決め手となった。

 

おろしたての服を着る日はうれしい。ましてやそれが春のコートなら。冷たい風が吹く日でも、私はもう春に生きていると胸を張れる。これから短い間の付き合いだけど、よろしくね、春のコートさん。